【エスティ―ムボディ™(消化管用)】 着けていることを忘れられるほど自然体でいられる~後藤安正先生へインタビュー(後編)~

2024年、コンバテックからストーマ装具・エスティームボディ™ウロ(尿路用)、エスティームボディ™(消化管用)が発売されました。尿路と消化管のダブルストーマの後藤安正先生*は、現在、両方でエスティームボディ™の製品をご使用いただいています。前回は、エスティームボディ™ウロ(尿路用)に切り替えた経緯をお聞きしましたが、今回も奥様にご同席いただき、エスティームボディ™(消化管用)の使用感やダブルストーマにエスティームボディ™の装具を使用した感想をお伺いしました。
>>>前編はこちら
後藤安正先生プロフィール:
61歳でダブルストーマを造設し、現在67歳(インタビュー時)。ご経歴は1982年東海大学医学部卒業後、複数のご経験を経て、1989年より後藤皮膚科泌尿器科医院院長。足のしびれと抗がん剤の後遺症による指の動きの悪さと付き合いながら、現在も医師としてご活躍。趣味はウォーキングやドラム、ギター、ピアノなどの音楽全般。ピアノはリハビリも兼ねて行っている。
・以下、本記事では「エスティームボディ™ウロ(尿路用)」と「エスティームボディ™(消化管用)」の名称を「エスティームボディ™尿路用」、「エスティームボディ™消化管用」と統一して表現いたします
排出口の操作は試行錯誤して、自分なりのやり方を確立
前編に続き、後編ではエスティームボディ™について、試行錯誤した点や困りごとが起きた際の乗り越え方について後藤先生にお伺いしたいと思います。
エスティームボディ™消化管用を使い始めた際、慣れるまでの試行錯誤があったと伺いました。
後藤先生「やはり、長年使っていた装具は慣れていたので、切り替えるのは苦労もありました。」
やはり排出口の操作でしょうか? 尿路用を切り替えたときも、慣れるまでいろいろあったとおっしゃっていましたね。
後藤先生「ストーマ装具が違うと、排出口も異なります。エスティームボディ™消化管用の排出口はプレートがやわらかめで片面であるのに対して、以前使っていたものはプレートが硬めで両面のタイプでした。前にも話したように硬いプレートが足にあたって痛いというデメリットはありましたが、排出時に排出口を広げやすいと感じたのは前に使っていた方でした。」

(エスティームボディ™(消化管用)の排出口開口時)
後藤先生「また、エスティームボディ™消化管用の排出口は、以前使っていたものに比べてプレートの1つ1つの縦幅が太く、排出口が長めです。排便後に排出口を拭き取る際に、なるべく奥の方までキレイに拭き取りたいのですが、以前のようにはいかず、袋の部分までは届きにくい。そんな細かい違いも感じました。」

(エスティームボディ™(消化管用)の排出口)
排出口のプレートは下から2つ目までをキレイにしておけば、折りたたんだ時にはみ出ることはないので最低限問題ないとされていますが、やはり奥までキレイにされたい方は多いですね。
後藤先生「奥まで指を入れたほうが、手前の端の汚れもしっかりとれるんですよ。排出口の違いは慣れるしかないから、トイレットペーパーを指に巻きつけて拭くときに、4重を2重にして厚みを薄くしたり、ストーマ装具用排出口拭き取りシートを取り入れたり工夫をしました。ニオフ消臭潤滑剤も使っています。」

(ニオフ消臭潤滑剤のラインナップ)
後藤先生「ちなみにニオフ消臭潤滑剤をストーマ袋に入れていたら本当に臭わない。パナソニックの技術という点に惹かれて試してみたのですが、ニオイが消えるという実感があって使っています。実は、便が溜まって排出しに行ったとき、排出口を前方に向けた状態で開いてしまい、自宅のトイレに便がばーと飛び散ってしまう失敗をしたことがあります。動けないから、大声で妻を呼んで来てもらって(笑)。そのときもニオフ消臭潤滑剤を使っていたから全然ニオイがなかったので消臭効果を実感しました。」
奥様「そうですね、呼ばれて手伝いに行きましたが、ニオイは感じなかったですね。」
ありがとうございます。ニオイ分子がしっかり分解されていたのですね。どのストーマ装具でも同じですが、必ず排出口をトイレに向けた状態で排出口を開けるようご注意ください。
後藤先生「あと、エスティームボディ™消化管用の排出口を拭くときに気を付けたいのが、2層構造になっていること。中のビニールの仕切りがあるんですよ。使い始めた頃、拭いても拭いてもキレイにならないと思ってよく見たら、違うポケットを拭いていた。手前の面板側のポケットに入れなくてはいけないんですよ。」

(エスティームボディ™消化管用の内部は2層になっている)
こちらは間違いやすいポイントかと思いますので、弊社でもしっかり周知に取り組みたいと思います。
後藤先生「排出口は操作する頻度が高いので、慣れるまで苦労します。でも自分で工夫できるところでもあります。私も使い始めて2か月ほど試行錯誤して、自分なりのやり方を確立しました。あとは、両ストーマでエスティームボディ™を使い始めてからは、面板が重なる部分をどうするかという問題がありましたが、それが解決したら、すごく生活が楽になりましたね。エスティームボディ™は何にも代えがたい快適さがあるので、前のストーマ装具に戻したいとは思いません。」
ダブルストーマならではの苦労をどう解決したか
ダブルストーマならではの面板部分が重なる問題があったとのことですが、詳しくお聞かせいただけますか?
後藤先生「私はダブルストーマだから、ストーマの位置に合わせて装具を貼付すると、どうしても2つの面板部分がこうやって重なるんですよ(下記写真参照)。はじめは皮膚保護剤をカットしてみましたが、カットしたら皮膚保護剤の面積が減るので、もたなくなりました。」

(消化管用と尿路用のエスティームボディ™を重ねる後藤先生)
後藤先生「次に、重ねて貼ってみたのですが、今度はどうしても重なる部分の皮膚保護剤が浮いてくるんですよ。皮膚保護剤の上に皮膚保護剤は充分くっつくのですが、動くとズレてきたり浮いてきて、そこから剥がれてくる。おへその部分が浮いてきたりも。そこで何かいい方法がないかなと皮膚・排泄ケア認定看護師の方に相談しました。」
一筋縄ではいかなかったのですね。どのように解決したのですか?
後藤先生「装具を貼付した後、重なっている部分を面板固定用フィルムドレッシング材で補強。こうすることで全く剥がれなくなりました。あと、重なる部分の皮膚保護剤の表面をガーゼで拭いてから貼付しています。パウダーを使うので、表面にパウダーが残っていると粘着が弱まります。ガーゼで拭いてパウダーを落としたら、しっかり皮膚保護剤同士がくっついて、剥がす時もなかなか剥がれないくらいです。」
他にアクセサリー製品は使われていますか?
後藤先生「消化管ストーマも尿路ストーマもどちらとも、コンバテックシールを使って、皮膚保護剤の厚みを増しています。消化管ストーマは薄めで一周。尿路ストーマはしっかり一周という感じです。特に尿路用はコンバテックシールを使うことで貼付期間を保っています。」

(用手成形皮膚保護剤のコンバテックシール)
エスティームボディ™消化管用の方は、もうコンバテックシールは使わなくていいのではと、皮膚・排泄ケア認定看護師の方に言われたそうですね?
後藤先生「はい、そうなのですが、お腹の形状などはそれぞれ異なるので、単一的な製品を使うだけではカバーできないと個人的に考えていて、コンバテックシールなどを使って、自分のお腹の形にあわせて補強するのが必要だと思っています。」
びらんや色素沈着が改善。皮膚の負担が減ったことを実感
コンバテックシールのようなアクセサリーを使うと費用がかかりますが、それによって貼付期間が延びるのであれば、経済的になる場合もあります。後藤先生の場合は、以前と比べて費用に変化はありましたか?
後藤先生「以前は費用が高い二品系で、アクセサリーの使用量も今より多かったです。なので、両方のストーマ装具をエスティームボディ™に切れ替えてから、費用は片方のストーマにつき、1か月あたり6,000円程度安くなりました。」
かなり費用が抑えられたのですね。二品系から単品系へ、そしてアクセサリーが減ったということは、ストーマ装具交換にかかる時間にも変化があったのではないでしょうか?
後藤先生「以前より数分ほど交換時間が短くなりました。現在は妻に手伝ってもらってストーマ装具交換も10分ちょっとでできています。人生の中でストーマ装具交換の時間はなるべく減らしたいと思い、今でも向上心を持って試行錯誤しています。できれば1週間に1枚が理想なんですよね。」

(ストーマ装具交換は奥様にサポートしてもらっているそう)
貼付期間が長い方が、装具交換の回数が減るということになりますものね。現在の貼付期間は以前と比べて変化はありましたか?
後藤先生「今の貼付期間は、切り替え前と変化はありません。今も以前も両方のストーマ装具を同じタイミングで替えていて、貼付期間は中3~5日くらい。ただ、同じ貼付期間でも、エスティームボディ™の方が皮膚への負担が少ないと感じます。」
皮膚への負担の違いを実感されているのはどのような点でしょうか?
後藤先生「実は、尿路ストーマの周辺皮膚はびらんや色素沈着など皮膚障害があったのですが、それがエスティ―ムボディ™尿路用に変えてからすごくよくなっていた1。装着中の痛みもなくなりましたし、皮膚の負担が減った実感がすごくあります。」
エスティームボディ™尿路用は皮膚保護剤がやわらかく腹部の動きに密着しているので、尿の潜り込みが軽減したということが考えられますね1。
後藤先生「タートルネック作用もあるので、漏れをしっかり防いでくれる。これはすごくいいと思います。」
先生はタートルネック作用*を高くご評価くださっていますよね。
タートルネック作用とは皮膚保護剤が肌の水分に触れることで膨潤し、タートルネックのようにストーマ近接部にフィットし、より強力に隙間をふさぐはたらきです。

(ストーマ近接部にフィットするタートルネック作用)
後藤先生「ええ、エスティームボディ™は本当によく密着するんだけど、実は貼付時にコツがあります。以前は外周テープ付きのストーマ装具を使っていたので特に勝手が違い、貼れたと思って手を離したら剥がれたことがありました。」

(参考:皮膚保護剤の外周にテープがついている装具の例)
確かに外周テープ付きストーマ装具と比べると、貼付時の勝手が違うかもしれません。先生が気を付けているコツとは何でしょうか?
後藤先生「貼付時に真ん中のストーマ近接部ばかりを気にして押さえていたのが、いけなかったようです。皮膚保護剤全体がくっつくように配慮して、皮膚保護剤の外周の縁もちゃんと指で腹部に馴染ませるようにするようにすれば大丈夫でした。そして、一度くっつくと、もう全然剥がれません。」

(皮膚保護剤辺縁部をしっかり馴染ませる方法)
特に外周テープ付きストーマ装具を使われていた方は、皮膚保護剤の辺縁部をしっかり馴染ませることに注意したほうがよさそうですね。
ストーマ装具を貼っていることを忘れられるほど自然体でいられる
エスティームボディ™に両方とも切り替えて安定するまでに、かなり試行錯誤があったようですが、尿路用を切り替えた後、消化管用もエスティームボディ™に切り替えた理由は何でしょうか?
後藤先生「尿路用がよかったから、きっと消化管用もいいと思ったから。前は前かがみになると皮膚保護剤が腹部に突き刺さって痛みがあったり、外周テープの痒みやつっぱりという不快感もあり、それから解放されたかった。今は柔らかいから動きやすいし、ストーマ装具を付けていることを忘れられるほど自然体でいられるから、元の装具に戻したいとは思いません。」

(エスティームボディ™の皮膚保護剤)
ストーマ装具切り替えによる困りごとが起きた際も、慣れ親しんでいる元のストーマ装具に戻そうとは思わなかったのですか?
後藤先生「切り替えてから安定するまではそれなりに試行錯誤が必要でした。私の場合、そんなときに寄り添ってくれる皮膚・排泄ケア認定看護師の方がいたのが大きかった。何か困りごとが起きるたびにプロに相談ができて、解決策を一緒に模索できたのは心強かったです。」
ストーマ外来に行かれている方はそこで相談することも大事ですね。弊社でもコンバテックme+™クラブで皮膚・排泄ケア認定看護師による無料のお悩み相談を受け付けています。ぜひご活用いただければと思います。>>>入会はこちらから
後藤先生「自分勝手にしちゃうと、失敗する。一度でも失敗すると、もう、いいやとなっちゃいますからね。私も何度も失敗しました。やはりよりよいストーマケアや日常生活のためには、よいストーマ装具に出会うことも大事ですが、専門知識をもつ方に相談することも大事だと思います。」
後藤先生は医師でいらっしゃって、ストーマの知識も豊富です。そんな先生でも失敗することがあるということ。そして、皮膚・排泄ケア認定看護師の方の意見を取り入れながら試行錯誤し、よりよいストーマケアを追求するご姿勢は、多くのストーマ保有者の方を勇気づけると思います。本日は貴重なお話をお聞かせくださりありがとうございました。
>>>エスティームボディ™の無料サンプルはこちら
1: 辰島美和、青木詩恵、宮﨑啓子、増川美加子.ウロストミーにおける凸面装具の5つの特徴を踏まえた装具選択.回日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌41(1).2025.187p 187
AP-73539-JPN
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