【エスティームボディ™】 ~49歳でストーマ造設後、定年まで高校教師として活躍。定年後もアクティブな横手圭子さん(後編)~
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ストーマ造設後、高校教師として定年まで勤め、退職後もアクティブな毎日を過ごす横手圭子さん。前編では、コンバテックの皮膚・排泄ケア認定看護師に相談して、どのようにストーマケアが変わったかについて伺いました。後編ではそのアクティブな生活の中身とその秘訣に迫ります。
横手圭子さんプロフィール:
現在65歳でストーマ歴は16年。49歳のときに直腸がんと診断され、S状結腸ストーマ(コロストミー)を造設。手術と抗がん剤治療のため1年半ほど休職した後、高校教師の仕事に復帰し、60歳(定年)まで勤めあげた。退職後も、実父の介護、小学生の孫達の世話、オストミー協会の役員などをしながらアクティブな毎日を送っている。日本オストミー協会福岡県支部で、副支部長兼事務局長、会計、会報編集等を担当。
※年齢はインタビュー当時
ストーマ造設後、人と接する教育現場への復帰。準備したこととは?

それでは、ストーマ造設後の生活についてお伺いします。職場復帰された時は不安もあったかと思いますが、いかがでしたか?
横手さん「私は高校教師でした。激務ではありましたが、早くから育児休業制度を導入するなど恵まれた職場環境でもありました。私はがんが進行してかなり厳しい状況で、退院後も長期の抗がん剤治療が必要でした。上司は『病気休職中は代替者を頼めるのだから、職場のことは気にせずしっかり治療して元気に復帰してほしい』と励ましてくださいました。結果的に1年半の間、お休みをいただき、しっかり治療に専念することができました。
“がん細胞とおさらば出来る日はきっと来る”と信じて、副作用に苦しみながら、抗がん剤治療をやり抜くことができました。その一方で“ストーマとは一生つきあっていくのだ”という覚悟を持ち、職場復帰後に困らないようにストーマケアの習得に努めました。
抗がん剤治療の合間の体調の良い時には、病院やストーマ保有者の団体であるJOA(日本オストミー協会)主催のオストメイトの会など、いろいろな患者会に参加しました。他のストーマ保有者と会い、体験談を聞くことで、自分のストーマケアと向き合うことができ、自分の復帰後の生活についても、具体的な準備ができました。」
実際にストーマ保有者と会うことで、どのように心境が変化しましたか?
横手さん「ストーマ保有者で教師をされている方、水泳をされている方などいらっしゃることも分かり、逆にストーマがあるからできないことなんてないんじゃないかと、勇気づけられましたね。実際のストーマケアなどを聞くことができ、復帰後の生活をイメージできるようになりました。」
しっかりと準備期間を経て復帰されたと思うのですが、実際復帰してどうでしたか?
横手さん「職場では、生徒に対しても他の職員に対しても、配慮してほしいこと3つをあらかじめ伝えていました。
1つ目が、授業中等に急にトイレに行かないといけないことがあるかもしれないから、そのときはあたたかく見守ってほしいということ。2つ目が、重たいものを持ってはいけないから、協力を求めたら手伝ってほしいということ。3つ目は、ストーマからガスが出たら自分の意志では止められないので、ブーと音が鳴ることがあっても、あたたかく見守ってほしいということです。
実際にそれで生徒たちも協力してくれましたし、ピンチの時は他の職員にヘルプを求めることがスムーズにできたと思います。」
ストーマ造設をカミングアウトできない。それでも準備したほうがいいこと。

なかなか職場などでカミングアウトをされないという方も多いと思いますが、横手さんは公表されたのですね。
横手さん「内部障害なので、障害を隠して復帰や再就職することもできますが、やはりきちんと伝えたほうが働きやすさにはつながると思います。特に配慮を受けたい場合は、周りに伝えないで配慮してもらうということは難しいです。」
センシティブなことなので、公表をしない選択をする方も多いと聞きますが、例えば上司だけ、一緒に働くチームにだけでも伝えることで、働きやすくなるかもしれませんね。
横手さん「はい、公表していなくても、緊急事態の場合に困らないように、伝える心構えはあったほうが良いと思います。オストミー協会の研修会などでも話すのですが、災害等の不測な事態に備えて、例えば「装具を交換するプライベートな空間が必要」など、いざというときに必要なサポ―トや配慮を伝えられるように、準備しておいたほうがい良いと考えています。
私は去年思いがけない形で入院した時には、まず看護師の方にストーマ保有者であるとを伝えることで、スムーズにストーマ装具を交換する場所を確保することができました。緊急時は口頭で的確に伝えることが難しい場合もあるので、使用している装具のことや配慮してほしいこと等を紙に書いて準備しておくと良いと思います。」
なるほど。いざという時に、どう自分の状態を伝えたら良いか戸惑うことが多いと思うので、普段は公表されていない方こそ、伝える準備をしていたほうがよさそうですね。
横手さん「そうですね。私は勤めていた高校で、人権教育の企画立案も担当していました。自分を例に挙げて、見た目には分からないけど内部障害がある人がいるということ、配慮を求めたければ自分から発信しなければいけないということを伝えてきました。さらに、カミングアウトを受け入れる心の準備もしなければならないとも伝えてきましたね。
教師になる時、自分の意見をはっきりと伝えられる生徒を育てたいと考えていたので、ストーマ保有者になって、あらためて発信の大切さを学び、身をもって生徒にも伝えられたと思います。」
定年後も介護、孫の世話、オストミー協会の役員…アクティブな生活を送る横手さん

高校教師として定年退職された後、現在はどのような生活を送ってらっしゃいますか?
横手さん「現在は父が入院しているので、病院に週2回ほど面会へ行きます。あとは、孫の世話をする日が週2回、さらに日本オストミー協会福岡県支部の研修会等の企画・実施、会計業務、会報編集や書類の作成など多岐にわたる業務で、毎日忙しくしています。」
お父さまは今年100歳とのことですね。
横手さん「春までは夫と自宅で介護していましたが、現在は入院中。自宅での介護が難しい状況になったので、退院後は施設へ入所する予定で、その準備を進めています。本当は自宅で100歳のお祝いしたかったのですが、施設で孫たちとささやかに祝う予定です。」
介護に加えて、お孫さんのお世話までされているんですね。
横手さん「隣の市に住んでいる娘に子供が3人いるのですが、週2日ほど通っておやつを食べさせて、車で習い事に送迎しています。3人とも小学生でとても賑やかです。夏休みは、孫のお世話を頼まれる日が多く、大忙しです。」
ストーマ造設後もアクティブでいる秘訣とは?

49歳でストーマを造設。その後も高校教師として活躍され、定年後もアクティブで充実した生活を送っていらっしゃる横手さん。ストーマ造設後、術前のようにアクティブな生活に戻れない方も多いと聞きます。アクティブな生活の秘訣は何だと思いますか?
横手さん「ストーマがあるから外出できなくても仕方ないと折り合いをつけて諦めるんじゃなくて“もっとアクティブになりたい”“もっと違和感なく過ごしたい”という気持ちを持つことが大事だと思います。ストーマがあるからできないことは、ほとんどないと思っています。
そして、アクティブな生活のための前提は、漏れがなく、肌が健康な状態をキープできるストーマ装具があるということ。
今はすごく良いストーマ装具が開発されていますし、自分の体もライフスタイルも変化しているので、今の自分に合ったストーマ装具を定期的にアップデートすることは必要だと思います。」
ありがとうございます。最後に本記事をお読みになるストーマ保有者の方へ、メッセージをお願いいたします。
横手さん「メガネは定期的に度数などの調整が必要ですよね。ストーマ装具も同じで、定期的に今の自分の状況に合わせて、アップデートする必要があると思います。
気になったストーマ装具のサンプルは取り寄せることができます。ただ、やはり自分流のストーマケアになると失敗することもあるので、プロの意見を聞くのが一番だと思います。
ストーマ外来に行っている方はそこで相談し、ストーマ外来に行くのが難しい方は、コンバテックme+クラブのお悩み相談を利用し、皮膚・排泄ケア認定看護師に相談するのが良いと思います。
ぜひ、ご自身にとってベストなストーマ装具と管理方法を見つけて、自分らしいアクティブな生活を送ってほしいです。」
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